2025.07.05 姫路・野里 築200年の町家ホテル
- 廣瀬 拓也
- 7月5日
- 読了時間: 2分
更新日:8月12日
姫路市野里商店街にある築200年の町家を、一棟貸しの宿として再生しました。
この建物は雨漏りや柱梁の傷み・傾きが著しく、活用するには修理だけでも大変な状態でした。増築されていた不要な部分を取り除いて雨仕舞いを改善し、ジャッキアップやいがみつきによる建て起こしを行い、古い柱や梁は友美堂の大工さんたちの手仕事によって新たな材と美しく繋ぎ合わされ、しっかりとした構造へと蘇りました。
道路側主屋の屋根には、現在主流のものよりひとまわり小さい「六四版」と呼ばれるサイズのいぶし瓦を使い、昔ながらのスケール感を大切にしています。壁は古い仕上げを随所に残しながら、新しく補う部分には竹小舞を編み、土を練りつけて、荒壁や割れ壁、中塗りといった左官仕上げで丁寧に仕上げています。外壁は主に焼き板を貼り、目板で押さえ、重厚な仕上がりとなっています。
雨水排水が詰まり泥にまみれていた庭は、造園の藤原園さんによって「月」「太陽」というテーマのもと、2つの新たな庭に作り替えられ、生まれ変わりました。
木製建具は、既存のものや新たに古建具を京都から買い付け、雰囲気を大切にしながら調整・建て込みを行いました。家具についても、ナルグリーンさんが元々あった箪笥を洗面台に仕立て直すなど、アップサイクルを取り入れています。また、キッチンや浴室などの水回りの設備は、現代的な仕様に一新して利用しやすいものにしました。
姫路の町家の暮らしを宿泊体験できる場所とするために、このようにできるだけ建物本来の姿を活かした形で改修工事を施しました。
宿のオープンはこれからです。姫路に残る貴重な町家を次世代へと受け継ぐ準備が整いました。